MU 09.懸垂からマッスルアップへ

背中に効かせる懸垂のフォームは胸・肩の柔軟性がないとできない

いよいよ懸垂シリーズの最後です。
懸垂を背中の種目ととらえた場合、効率的・効果的なフォームは胸を下からバーに当てに行くような形です。
胸を張って、上半身を反るような形にします。

ここで重要になってくるのが、胸・肩の柔軟性です。
下写真のようなフォームをやってみて、可動域を確認しましょう。
赤の破線で示した胸のラインよりも、できる限り手を身体に引き付ける(手をできる限り背中方向に引っ張る)ように頑張ってみて下さい。

残念ながらわたしは可動域が狭いため、これが限界です。(これ以上手を引くことができません)
もしも上の写真の手に鉄棒を握っていたとすると、ちょうど胸が鉄棒に当たるくらいの位置です。
つまり、わたしの場合は可動域の限界まで手を引ききってようやく胸が鉄棒に当たります。
だから背中を限界まで収縮させないと胸が当てられず、背中としてはものすごくきついわけです。

仮にわたしの位置まですら手が引けないくらいの可動域だとすると、鉄棒へ胸を当てることは不可能ということになります。
このフォームで鉄棒に胸があてられるかどうかは、筋力だけでなく可動域が大きく影響するということです。
どうしても胸が当てられないという場合は筋力が弱いというだけではないのかもしれません。


手幅を狭く握るとこの可動域がさらに小さくなり、このフォームはやりにくくなります。
つまり順手で握って手幅を広く握ったグリップは、上記のようなフォームがやりやすく、背中に効かせるのに向いています。
手幅を広く握ると、脇を横から閉じるような動きになり広背筋がしっかり働き、フィニッシュ付近は前方から後方に腕を引くような動きになるため僧帽筋や菱形筋が働きます。

最も正しいとされる懸垂のフォームはマッスルアップにはつながらない

一般的に最も正しい懸垂のフォームとされているのは上で説明したフォームです。
だから懸垂は背中の種目としてとらえられることが多いのだと思います。
ただし、このフォームはマッスルアップの動きとは全く違うものであることが最大の注意点です。
↓この動画を見て下さい。上の動画と全く同じ環境で、同じ懸垂という種目をやっていますが、フォームが全然違います。

このようにマッスルアップを意識した懸垂では、フィニッシュ近くで鉄棒を下方向に押して、身体を上方向に高く押し上げるようにします。
顎をバーまで持ち上げることが最初の目標ですが、できるようになったら次は胸をバーまで、それもできるようになったら次は腹をバーまでと、どんどん高さを追求します。
身体を反って胸をバーにあてに行くのではなく、身体はむしろくの字に曲げ、肩甲骨・肩・腕などすべての力を総動員して、できる限り高さを出していきます。
意識としては、頭の上から無理矢理引いてきたプッシュダウンのような感じです↓動画。

順手で手幅を狭く握って、高さを出そうとすればよい

懸垂の手幅に話を戻しますが、順手で手幅を狭くすると脇は前から閉じるような肩関節の伸展運動となり、上腕三頭筋長頭が働きます。
マッスルアップにつなげたいのであれば、このような動きを意識した懸垂を行います。
さらにプッシュダウンにつなげていくと肘を伸ばす動きになり、上腕三頭筋外側頭や内側頭も働きます。マッスルアップの中盤~後半は三頭筋がフル活動します。

現実的には胸や肩の柔軟性が低く、可動域が小さいと本記事の前半に書いた通り広い手幅で背中に効かせるフォームでは胸や顎をバーに近づけることにかなり苦労します。
そのため自然とこのマッスルアップにつながりやすい方のフォームっぽくなります。
こちらの方が顎をバーの高さまで持ち上げるのも楽です。
ところが、このフォームは正しい懸垂のフォームとされず、邪道扱いされてしまうことがあります。
マッスルアップを目指すのであれば、邪道でもいいのでこちらのフォームもガンガンやりましょう。
いずれ背中に厚みが欲しくなって、正しい懸垂やシーテッドローなどをやりたくなる日もきます。

順手の懸垂には全くコンセプトの異なる2種類がある

とても大切なことなので、完全に繰り返しになりますがもう一度強調しておきます。
順手の懸垂2種類のまとめです。
①順手狭め→肩関節の伸展運動=前から脇を閉じる運動→上腕三頭筋長頭がよく働く→身体はくの字に曲げてバーを下方向に押して、身体に高さを出すように懸垂する→マッスルアップにつながる
②順手広め→肩関節の内転運動=横から脇を閉じる運動→広背筋がよく働く→身体を反って下方向から胸をバーにあてに行く、柔軟性が必要でフィニッシュ付近は僧帽筋や菱形筋にしっかり入る→正しいとされる懸垂のフォーム

これに③の逆手を加えた3つが、グリップによる懸垂の違いです。
最後に①→②→③をつなげた動画です。全く同じ環境で、懸垂をやっていますが、全然違います。
わたしの場合、未だに背中が弱いのと可動域が狭いため②のフォームがいまいちです。本当はもっと胸を張って、身体を反らせたいけどできません。

まとめ

マッスルアップをやりたいなら、背中に効かせる懸垂とは違うフォームの懸垂をやりましょう。

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